【連載】生死の境と家系の配線 全3話-第3話
ホルモンの席ではなく、家系のバグを見る
ホルモン系の癌が増えている、と感じる席があります。病名は分けません。観るのは墓と、家系のバグです。
銀座の名高いフランス料理の店で、常連らしい中年の女性が言いました。「私、癌になったじゃない。いずれ死ぬからさ——」。あれだけ払える人でも、死ぬときは同じ袋に入る。頭に残ったのは、同族の問いでした。先代が病になったとき、この家はどこに座るのか。です。
同族に最も濃く出る、主権の空席。 「文中の第8話」はこちらから
墓は資産に見えて、未処理を固定します。土地の第8話と同じ形です。墓詣でを続けても場が軽くない。石を移しても、誰が主か、誰の病を家の物語にするかが決まっていなければ、次の体に同じ荷が寄ります。
呪縛とは、憑き物ではありません。切れなかった境界が、代をまたいで再実行されるバグです。子が親の成し遂げられなかったテーマを、病という形で走ることがあります。子が病を起こしてはならない、ではありません。親の未処理を、体で補完させるな、という意味です。
先代が倒れたとき、後継が「戦う姿」だけを受け継ぐと、QOLも作品も墓も、比較表の外に出せなくなります。第2話の8か月は、その外に席を置いた時間です。会社を守るための入院、跡を急がせるための宣告、墓を守るための生存。主語が家名になった瞬間、本人の席は空きます。
墓を浄化するのは、死者を動かすためではありません。生きている側の席を、死者の未処理から外すためです。
墓じまいをした夜に、家系の配線まで見ない家があります。閉じたつもりでも、 墓標の席は空いていません。その未処理は、次の体と、会社の席に持ち帰ります。
先代が病になったとき、何を見るか。墓がまだ主の席に座っていないか。誰かの未処理を、生きている側が体で走っていないかを先に見る。
「いずれ死ぬからさ」の一言は、諦めにも聞こえます。主が座っている人の口から出ると、比較表を置く場所が変わります。座っていない人の口から出ると、家中が先に倒れます。
先代が倒れたとき、先に見るのは就業規則ではありません。墓がどの席に座っているか、未処理がどの体と会社に再実行されているかです。
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連載「主不在の会社」
同族に最も濃く出る、主権の空席。文中の第8話は、墓と未処理の形が同じ話です。
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【連載】生死の境と家系の配線 第2話
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